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目を覚ますとそこは鬱蒼とした青白い森の中だった



いつ、どれくらい、私はここで眠っていたのか


ずいぶん昔の記憶過ぎて覚えていない


ただ行かなくてはいけないことは体が覚えている



見たことのない鳶が飛んでいる、この森も変化している様だ



そうだ、歩き疲れて私はここで眠っていたのだ。長い間


この長く先の見えない森を歩き続けることに辟易していたのだ



しかし、とにかく今は行かなければ


夜が来る前に



幸か不幸か、私の体は滅びることはないようだ


空腹を感じることもなければ、怪我で死ぬこともない



歩けばきっと、歩き続ければきっと、森を抜けることができる


この忌々しい森を抜け、視界が開けてくるはずだ



この世界全てが森でない限りは。

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